地球温暖化・資源エネルギー

G7気候・エネルギー・環境大臣会
石炭発電廃止で温暖化

温室効果ガスの削減対策をしない石炭火力発電は廃止、とG7気候・エネルギー・環境大臣会合は、共同声明を採択。発電所以外での石炭使用が増えて、さらに温暖化します。

 世界の気温上昇を1.5度に抑えるため、石炭火力発電を2035年までに廃止し、再生可能エネルギーの発電容量を2030年までに3倍にし、蓄電池などによる電力の貯蔵量を6倍以上に増やす国際声明がイタリアのトリノで4月30日に採択されました。

経済産業省HPより

製鉄所に移る石炭使用

 再生可能エネルギーや蓄電池は、設備や装置の製造に大量の鉄を用います。だから再生エネルギーを推進してもCO₂の世界発生量は増え続けています。
 先進国で再生可能エネルギーを増やせば、その装置に用いられる鉄の製造が増えます。鉄の製造には石炭が用いられるので、鉄の製造が増えれば、より多くの石炭が燃やされることになり、世界のCO₂排出量は増え続けます。再生可能エネルギーを増やそうとすると、その装置を生産する中国やインドで石炭の消費量が飛躍的に増えて、地球温暖化が加速します。

CO₂と一緒に出る黒いチリ

 化石燃料を燃やすと、最も汚い排気が出るのが石炭、次が石油、一番きれいなのが天然ガス。これには異論がありません。だから、CO₂を減らす一番の悪者は、次が石油、その次が天然ガスと序列をつけて、温室効果ガスを削減する議論が進められてきたのです。
 しかし、地球温暖化の最大原因は「気体のCO₂」ではなく、同時に出ている「個体の黒い炭素のチリ」です。主犯が違うことに気づかねば、正しい対策をとれません。炭素のチリを減らせばいいのですから、石炭をやめるのではなく、石炭を燃やして出る汚染物質を取り除けばいいのです。
 石炭消費量が、世界で最も多い中国は、火力発電所から出る大気汚染を少し規制しています。中国で汚いチリを最も多く出している製鉄所から、黒いチリをたくさん出させるのが、今回の国際合意です。排ガス規制をほとんど行っていないインドにも鉄が発注され、製鉄所で黒いチリをたくさん出させることになります。
 今回の合意が先進国で実行されると、中国とインドから黒い炭素のチリが大気中に多量に出て温暖化が促進され、私たちは、もっと暑い中で暮らすことになります。
 大気汚染の規制が緩い中国と、ほとんど規制していないインドに、日本と同レベルの大気汚染防止法を制定させるのが、最も有効な地球温暖化対策です。

海も暖める黒いチリ

海面の水温(2023年8月15日、気象庁)

 炭素の黒いチリは、海も温めます。
 中国が海を温めている典型例の図を見てください。中国沿海部の海水面の温度が 30度で、中国から離れて太平洋の真ん中に近づくと27度に下がります。
 中国は、大きなチリを出さない排ガス規制を行っていますが、小さな黒い炭素のチリが大量に大気中にあります。雨が降ると、黒いチリが海に落ちて中国近海の海を温める原因になっているのです。陸上に落ちたチリも、川から海に流れ出て、これも沿岸部の海水を温める原因になっています。
 これらが地球温暖化の原因の何%を占めているかはわかりませんが、世界が進めているCO₂対策も、CO₂が温暖化の何%に貢献しているかは示されていません。
 太陽光発電や風力発電、蓄電池は、電力の自給率を高めるには必要です。これを、「地球温暖化の防止に用いる」と、間違ったことを言って、世界全体に半強制的に設置させているのが国連です。国連が主導して温暖化ガスには研究予算が付くようになっています。それ以外の温暖化の研究には研究予算がほとんどつきません。それで温暖化ガスだけがニュースになり、原発を推進する理由にもなっているのです。
 日本政府は、石炭火力発電の廃止に抵抗しているのですから、温暖化ガス以外の温暖化研究に多額の研究予算を出して、正しい情報を日本から発信すべきです。そうすれば地球温暖化を止められます。

CO 2 が地球温暖化の原因でない根拠

「地球温暖化の主原因はCO₂ではない、の主張に納得できません。炭素の微粒子が原因の1つであることは納得できますが、CO₂でないという主張は、何から導かれたのでしょうか」と愛知県のTさんから、ご質問をいただきました。地球温暖化が先で、CO₂増加はその 結果と、槌田敦氏が主張していました。

気温とCO₂の変化